シングルファザーでチャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラーのてっちゃんです。資格を活かして、子育てやシングルパパの方の役に立つ情報を発信しています。今回は【幼保無償化について「負担が増えた」という声も】をお話いたします。
幼児教育・保育の無償化制度がスタート
令和元年10月1日から幼保無償化が(幼児教育無償化)実施されることになりました。
▼幼保無償化の内容は下記になります。
- 幼稚園の教育費が補助
- 保育所や認定こども園の教育費が補助
- 認可外保育施設の利用料が補助
- 保育園の保育料が補助
そのほかの施設やサービスも、上限が定められた上で制度の対象となっており、それぞれ補助を受けることが出来ます。
幼保無償化は従来の児童手当とは違い、所得制限は設けられていないのが特徴です。0~2歳児の保育料については一部制限がありますが、幼稚園の公立・私立、保育園の認可・認証・認可外など、どんな種類の施設に通っていても幼保無償化の対象となります。
なぜ幼保無償化が実施されることになったのか
▼幼保無償化が実施された背景には下記のような理由があります。
- 近年少子化が進んでいるのは高額な教育費が原因の一つなのではないか
- 令和元年10月から始まった消費税増税による、増額した税収の半分を国民に還元することになった
- 子育て世代の教育費の負担を少なくすることで、家庭の所得に関わらず、平等に質の高い教育を可能にすること
つまり、幼保無償化は政府が提言した「新しい政策パッケージ」に含まれる政策の1つになります。当初は2019年、2020年に子供の年齢に合わせて段階的に幼保無償化が実施される予定でした。しかし、2019年10月に消費税が10%に増税することが決定となり、「増額した税収の半分を国民に還元すること」を目的に2019年10月に実施されることになりました。
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幼保無償化によって実際に負担は減る?
政府は幼保無償化を実施したことによって、子育て世帯の負担が減少することにより出生率が上がることを期待しています。しかし、幼保無償化への期待が高まる一方で「待機児童の増可」「保育の質の低下への懸念」「業務負担の増加」といった問題が出てきています。
幼保無償化が始まったことによって、待機児童が更に増えてしまう可能性があります。何故なら保育施設が無償になるのであれば、「子どもを預けて仕事を始めたい」と考える保護者が増える一方で、その受け口である保育施設が不足してしまうためです。
待機児童が増加することの懸念
待機児童数は年々減少傾向にあり、特に待機児童数が多い都市部では待機児童の減少に向けた取り組みを続けてきたことにより、わずかではありますが減少傾向にあります。一方で、郊外や地方では需要増に追いつかない問題が目立っており、幼保無償化が実施されたことによって待機児童が増えてしまう懸念があります。
近年では保育士不足が深刻な問題になっており、保育士不足で開所できない施設が相次いでいます。幼保無償化によって入所希望者が増えれば、今後はさらに待機児童数が増加する可能性があります。待機児童という問題を減少させるためにも保育士の処遇改善や保育所開設などの整備を早急に進めることが求められます。
経済的負担が軽減されると歓迎する保護者がいる一方で・・
経済的負担が少なくなると喜んでいる保護者がいる中で、受け口の量は変わらないので今よりも入園競争が激化することが考えられます。入園競争が激化し、保育の無償化によって受け口である園が規模を大きくしようと対応が迫られた結果、現場で働く保育士の負担が大きくなってしまいます。
幼保無償化では「給食費」「延長保育料」とった費用は自己負担になります。入園する児童が増える一方で給食費や延長保育料の書類や契約書を改めて各家庭に向けて作成するなどの業務量が激増し、あくまで保育士側の処遇は変わらないので必然的に大きな負担となってしまうのです。保育士の現状として、賃金と労働がアンバランス、責任の重さなどがあり、それらに加えて幼保無償化を実施した国との認識に大きなギャップがあります。
国も深刻な保育士不足は認識しており、「処遇改善として月額2%(約6,000円)を給与に上乗せする」「保育士試験を年2回実施の推進」など保育士の処遇改善に向けて取り組んでいますが「処遇改善はされているが実感は少なく、これではまったく意味がない」といった声があげられています。
「幼保無償化は富裕層の優遇」という声も
保育の無償化は「少子化対策というよりも富裕層の優遇なのではないか」という声もあります。もともと保育所の利用料は収入が多いほど高くなる仕組みのため、結果的に高所得層が恩恵を受ける形となってしまうからです。低所得世帯には既に減免措置が導入されており、幼保無償化の恩恵は小さいといえます。
また、入園選考は夫婦とも正社員の世帯が有利となっていますが、首尾よく子どもを入れたら費用は無料になります。それで余裕が出来るので「もっと子どもを持つことも考えられる」ということも。今後はこういった構図が強まるかもしれません。子どもを持てるかどうかが、経済力に規定されるようになってしまうのではという問題もあります。
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